<6/6>【オリエンテーション】ポツダム宣言を知る:日本とアジアの戦後と今を考える原点
本連続講座のねらいである「日本とアジアの戦後と今を語る」ためには、戦後の原点を知ることが不可欠です。敗戦日本の出発点である「ポツダム宣言」の内容・含意を理解することを学びの出発点とします。
◎主著:『すっきり!わかる 集団的自衛権Q&A』大月書店 2014/『検証 安倍談話─戦後七〇年 村山談話の歴史的意義』(共著)明石書店 2015 ◎参考ウェブサイト: 「21世紀の日本と国際社会」
「データベース「世界と日本」

<6/20>極東国際軍事裁判と戦後体制
浅井基文(元広島市立大学広島平和研究所所長)
西洋における「正戦」概念の展開と極東国際軍事裁判(いわゆる東京裁判)。その結果は戦後体制にどのように反映され、どのような形で現在まで尾を引いているのかを考えます。
◎参考文献:Chris Brown“International Society, Global Polity” SAGE Publishing 2015/豊下楢彦『昭和天皇の戦後日本─〈憲法・安保体制〉にいたる道 』岩波書店 2015
<7/4>連合国の占領と在日朝鮮人
「日本人」あるいは日本における「外国人」とは何なのか。朝鮮人の視点から、占領政策とそれに基づいた日本政府の対在日朝鮮人政策を検討し、そこから今日の在日朝鮮人の現状を推察します。
◎主著:『ドキュメント在日本朝鮮人連盟1945-1949』岩波書店 2009/『在日朝鮮人企業活動形成史』雄山閣出版 1992 ◎参考文献:呉 圭祥『記録・朝鮮総聯60年』2015/内海愛子、大沼保昭、田中 宏、加藤陽子(共著)『戦後責任 アジアのまなざしに応えて』岩波書店 2014

<7/18>南洋群島にみる日本帝国の崩壊と引揚げ
アジアや太平洋島嶼に拡大した大日本帝国の崩壊は、そこに暮らす人びとに何をもたらしたのか。南洋群島を例に、植民地統治・移民を規定した政策動向を含めて、「引揚げ」という戦争体験について考えてみたいと思います。
◎主著:『日本帝国崩壊期「引揚げ」の比較研究』(共著)日本経済評論社 2016/「? 南洋群島(南洋群島の日本の軍隊)」坂本悠一(編)『地域のなかの軍隊7(植民地)─帝国支配の最前線』吉川弘文館 2015

<8/1>朝鮮戦争と日本の再軍備
朝鮮戦争とは何だったのか。アメリカをはじめとする諸外国の対アジア戦略上の意義や、占領下にあった日本への影響という観点から、特に、日本の再軍備という現在へとつながっていく側面を焦点にして考えます。
◎主著:『朝鮮戦争全史』岩波書店 2002/『「平和国家」の誕生─戦後日本の原点と変容』岩波書店 2015

<9/5>【ディスカッション】占領から独立へ
内海愛子(市民文化フォーラム 共同代表)
日本が敗戦・降伏してから主権回復するまでの出来事を、これまでの講義で提示されたさまざまな観点を踏まえて一旦整理しながら語り合うことで、学びをさらに深めたいと思います。
<9/19>サンフランシスコ平和条約とアジア<1>沖縄
日本は、サンフランシスコ平和条約の締結により主権回復しましたが、そこに沖縄は含まれませんでした。そこにはどんな意図が働いていたのでしょうか。また、現在でも続く沖縄をめぐるアジアの状況を整理し、「本土」やアジア諸国との関係を改めて考えてみましょう。
◎主著:『自治体の平和力』岩波ブックレット 2012/『地域から平和をきずく─オキナワ・イワクニからみた日本』(共著)晃洋書房 2010 ◎参考文献:新崎盛暉『日本にとって沖縄とは何か』岩波新書 2016/三上智恵『戦場ぬ止み─辺野古・高江からの祈り』大月書店 2015

<10/10>サンフランシスコ平和条約とアジア<2>中国
浅井基文(元広島市立大学広島平和研究所所長
「中国」がサンフランシスコ講和会議に招致されなかったのはなぜか。中国不在の講和が刻印した「負の遺産」を、21世紀戦後国際関係の観点から考えてみます。
◎参考文献:原貴美恵『サンフランシスコ平和条約の盲点―アジア太平洋地域の冷戦と「戦後未解決の諸問題」』渓水社 2005 ◎参考ウェブサイト: 「21世紀の日本と国際社会」
「データベース「世界と日本」
<10/24>サンフランシスコ平和条約とアジア<3>韓国
韓国は平和条約署名に強く参加を希望し米国も後押ししましたが、中国と国交を結んだ英国が反対し、結局霧散します。その後、日韓が国交を結ぶまで15年もかかったのに、植民地支配の責任は曖昧なまま今日に至ります。そのプロセスや現在の日韓関係における意義を考えます。
◎主著:「用意周到に準備されていた会談の破壊」『五〇年目の日韓つながり直し─日韓請求権協定から考える』(共著)社会評論社 2016 ◎訳書:韓国国外所在文化財財(企画)、? 壽永(編)、荒井信一 (監修)『韓国の失われた文化財 増補 日帝期文化財被害資料』(共訳)三一書房 2015 ◎参考文献:袖井林二郎(編訳)『吉田茂=マッカーサー往復書簡集 1945-1951』法政大学出版局 2000/外務省北東アジア課内日韓国交正常化交渉史編纂委員会『日韓会談日本側文書1124「日韓国交正常化交渉の記録 総説その1」』1969

<11/7>サンフランシスコ平和条約とアジア<4>賠償
サンフランシスコ平和条約のもと、日本の戦争賠償はどのようになされた(あるいはなされなかった)のか。西松建設の中国人強制連行・強制労働事件を具体例とし、その賠償訴訟の経緯をたどりながら考えてみます。
◎主著:『靖国神社参拝の何が問題か』平凡社新書 2014/『和解は可能か─日本政府の歴史認識を問う』岩波ブックレット 2015 ◎参考文献:内田雅敏「『受難の碑』を『友好の碑』に─広島で中国人強制連行・労働受難者追悼式」『毎日新聞』2012年11月12日夕刊/内田雅敏「日中の緊張緩和に貢献─三菱マテリアル中国人強制労働事件和解」『毎日新聞』2016年6月7日夕刊

<11/21>【対談】サンフランシスコ講和体制と労働運動
内海愛子(市民文化フォーラム 共同代表)
村山良三(元機関士/国労作家集団)
◎主著:『JRジプシー日記 国労の仲間達とともに』新日本文学会 1992/「流れの底からのはなし」『作家集団』168号
館野利功(国労教育宣伝部長/『国労文化』編集長)
◎参考文献:館野利功(編)『国労文化』(1947年11月創刊)
戦後日本の労働運動を、国労を中心に考えます。2.1スト中止命令から占領下での運動はどのように展開したのか。分割民営化の中で、労働者はどう闘い、そこで何が起こっていたのか。組合と運動の中心で活動していた元国労の組合員が体験を踏まえて語ります。
<12/5>戦後補償から考える日本とアジア
内海愛子(市民文化フォーラム 共同代表)
韓国、中国と戦争・植民地支配の処理をめぐって、いまなお、摩擦が続いています。なぜ、被害者たちが賠償を求めるのか。「もう終わった」「支払った」との日本側の認識との断絶を、戦後史の中で考えます。
◎参考文献:内海愛子『戦後補償から考える日本とアジア』(改訂版)山川出版社2002/加藤聖文『「大日本帝国」崩壊─東アジアの1945年』中公新書 2009
<12/19> 【ディスカッション】日本・アジアの戦後と今を語る
内海愛子(市民文化フォーラム 共同代表)
全体のまとめとして、ポツダム宣言・東京裁判・サンフランシスコ平和条約を軸に、多様な観点から戦後史を学び、私たちは何を得たのかを確認したいと思います。個人として得た学びを共有し、私たちが生きる「今」、そしてこれからについて、共に語り考えてみましょう。