特定非営利活動法人
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「RCEP交渉会合に対する国際市民会議(PECR:People's Economic Cooperation in the Region)」への寄付
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「RCEP交渉会合に対する国際市民会議(PECR:People's Economic Cooperation in the Region)」への寄付

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 米国でトランプ新大統領が誕生した1月20日、米国政府はTPPの離脱とNAFTAの再交渉を政策として掲げました。TPPの行方は今後も不透明ですが、自由貿易推進の流れは変わりません。市民社会としては引き続き様々な自由貿易協定に注意を払い、人々の声を届けていく必要があります。

 このたび、日本も参加するいわゆるメガFTA(経済連携協定)であるRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の第17回交渉が、2017年2月27日から3月3日まで、神戸コンベンションセンターにて開催されることが決まりました。RCEPには、ASEAN10ヶ国に日本、韓国、中国、インド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた計16ヶ国が参加しています。

 RCEPについては、日本国内でもほとんどの方が知りません。2013年から交渉が重ねられてきましたが、TPPと同じように秘密交渉であり、日本政府のウェブサイトにはほとんど内容についての情報はありません。またマスメディアも報じないため、多くの人がRCEPの存在すら知らない状態です。

 国際NGOは、2013年以降、RCEP協定文のリーク文書を分析したり、各国の市民社会組織と情報共有や議論を重ねてきました。その議論を踏まえれば、RCEPにはTPPでなされた大企業や投資家に有利な内容がいくつも盛り込まれようとしており、そのことを最も推進している国の一つが日本であるということです。

 TPPと異なり、RCEPにはいわゆるグローバル企業の強い影響や、米国政府のような強烈な主張をする国はいないように見受けられます。しかし実際には、途上国(特に後発後進国LDCであるカンボジア、ミャンマー、ラオス)にとってのRCEPは、貧困や格差を増大させ、医薬品アクセスを困難にし、ISDSのような投資家に有利な裁定システムによって公共政策のスペースが狭められる危険が極めて高いといえます。

 2月のRCEP会合が神戸で開催されるにあたり、私たち日本の市民社会組織は無関心ではいられません。まずは政府に正確な情報公開を求めることから始め、RCEPの全体像を把握し、問題点を広く訴えていくような活動を、会議期間中に開催したいと考えています。さらに、どのような貿易のあり方が、先進国・途上国を含むすべての人々にとって本当に有益なのか、そのためには貿易のルールをどのように変えていけばよいのかも含めて、市民社会の中で議論できるきっかけとなるよう考えております。

 神戸での会合開催が決まった2016年12月以降から数団体で協議を行ない、このたびNGOや労働組合、市民団体が協力して、「RCEPに対する国際市民会議」を立ち上げることといたしました。交渉会合の会期中には、神戸現地にて海外からのNGOとも一緒にいくつかの取り組みを計画しています。

 つきましては、この行動全体に対する資金の寄付ご協力を皆さまにお願いいたします。

 日本での会合決定は昨年12月に決定されたため、十分な資金や人出がない状態です。皆さまからいただいたご寄付は、主に海外(特に途上国のNGO)の渡航経費や、神戸現地での記者会見やセミナーを行なうための会場費や通訳代に充てたいと思っております。ご寄付の目標額は40万円です。

 限られた財政状態の中ですが、TPPと同じく完全な秘密交渉であるRCEPについて、私たち日本の市民は関心をもって提言をしていきたいと切に願っております。どうか皆さまにも関心を持っていただき、ご寄付をいただけますよう重ねてお願い申し上げます。

本寄付は「RCEP交渉会合に対する国際市民会議」実行委員会への寄付となります。呼びかけ団体の一つであるアジア太平洋資料センター(PARC)を窓口としていますが、振込み等にかかわる手数料を除いて全額実行委員会へと転送されます。

【問い合わせ・連絡先】
RCEP交渉会合に対する国際市民会議(PECR)
事務局:アジア太平洋資料センター(PARC)
〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビル3F
TEL.03-5209-3455 FAX.03-5209-3453 E-mail: office@parc-jp.org
http://rcepinfojp.blogspot.jp/
数量:

RCEPに対する国際市民会議(PECR:People's Economic Cooperation in the Region)

●主旨:2017年2月27日から3月3日の神戸RCEP会合にて、国際NGOと協力して以下をホスト国である日本政府に求める
 1)RCEP交渉についての情報公開
 2)RCEP神戸会合中のステークホルダー会合(市民団体、個人が参加可能)の開催
 3)途上国・先進国の人々にとって悪影響を与える内容について検証する

●会期中の神戸での行動案
 1)一般市民向けのセミナー
 2)マスメディア向けの記者会見
 3)日本政府及びRCEP参加国政府に対するアドボカシー

●ご寄付の使途
 1)海外からのNGOに対する渡航費補助:6人×50,000円 300,000円
 2)セミナー、記者会見の会場費 100,000円
計40万円

 ※全体予算としては約100万円を予定しております。助成金や団体賛同金などもお願いしているところです。

●その他
・ご寄付いただいた方には、RCEPの内容や交渉の状況などをお知らせするメールニュースをお送りいたします。神戸会合の後にも引き続きRCEP交渉をフォローしていきます。
・会合終了後には活動報告・財政報告を行ないます。
・ボランティアも募集!「神戸現地で市民会議に参加したい!」「お手伝いできます」という方はぜひご一報ください。
「RCEP交渉会合に対する国際市民会議(PECR:People's Economic Cooperation in the Region)」への寄付

背景

 TPPやTTIP(米国とEUの貿易協定)、TiSA(新サービス貿易協定、日本も参加)など、いわゆる「メガFTA」は行き詰まりを見せている。2016年11月の米国大統領選の結果、共和党候補者のドナルド・トランプ氏が勝利したことで、氏の言う「TPPからの離脱」が本当になされれば、TPP協定は完全に頓挫することになる。また米国がTPPから離脱しないとしても、再交渉となるのは必至であり、改めてその内容は変わっていくこととなる。
 また米国とEUの貿易協定にしても、市民社会からの強い反発を受け、交渉は停滞している。EUとカナダの貿易協定CETAについても同様である。
 WTOの後の通商交渉レジームとして2013年頃をピークに世界の多くの地域をカヴァーする貿易協定として登場したメガFTAだが、実情は米国がこれまでの貿易協定で使用してきた協定文のフォーマットを流用しながら、大企業や投資家にとってさらに有利となるルールづくりがなされてきたと言える。TPP協定の中にも、知的所有権(医薬品の特許や著作権保護)の強化や、投資家対国家紛争解決の制度(ISDS)、食の安心・安全を脅かしかねない規定など、グローバルにビジネスを展開する側にとっては有益だが、各国の国民の暮らしにとっては脅威となる規定が数多く含まれている。
 経済力も国の制度も異なる多様な国々が、このような単一のルールに適合させられ、各国内の法律改正や規制緩和を強いられる現在の貿易協定の無理と矛盾が露呈したことが、これら貿易協定が漂流していることの大きな理由であろう。またこれらの貿易協定はいずれも秘密交渉であり、各国の市民からは民主主義という観点からも批判されている。
 歴史を振り返れば、1980年代に始まった新自由主義の流れは、自由貿易を推し進めてきたが、当時経済理論として持ち出された「トリクル・ダウン」は、30年たった現在、実現しなかったことが数々のデータから判明している。フランスのトマ・ピケティが指摘し、またOECDレポートでも指摘されているように、貿易の自由化は貧困と格差を是正するどころか、逆にその主要な原因となっているのである。著名な経済学者であるJ.スティグリッツは、自由貿易の推進によって貧困や格差が広がり、米国における貧困者の医療アクセスが今以上に悪化することを指摘している。またシエラクラブやOXFAMなどの国際NGOは、環境や開発という視点から、大企業優先のルールである自由貿易協定に批判的見解を呈している。2015年6月、国連の人権専門委員10人が、TPPやTTIPなどの協定は、医療や医薬品、水道などの人間にとって欠かせない基本的サービスへのアクセスから、人々を阻害する危険があるとの韓国も出している。国連の人権専門家も「人権条約や開発目標についてきちんと触れないままに、TPPに署名してはならない。TPPには根源的欠陥があり、国家が規制できる余地が担保されないかぎり署名も批准もされるべきではない」と各国に警鐘を鳴らす声明も発表している。

 メガFTAが行き詰まっている中で、日本政府は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉を促進している。米国大統領選の直後、TPP漂流の可能性がある中でにわかにRCEPにも注目が集まったが、それも数日間だけだった。
RCEPには米国は含まれず、中国やインドなどアジアの大国、そしてAESEAN諸国などが入っており、先進国である日本のプレゼンスは大きい。RCEPの第16回交渉会合は2016年12月5日から12日まで、インドネシアのジャカルタで開催された。この会合の終了時に、次回の第17回会合は2月末から3月初旬に神戸で開催されることが正式に決まった。
 後述のとおり、RCEPはアジア全体を包括するメガFTAであり、多くの開発途上国も含まれている。国際市民社会はRCEPにTPPのような大企業優先のルールが持ち込まれることを強く懸念しており、日本の提案についても批判が寄せられている。特に、貿易自由化による経済効果のメリットだけがクローズアップされる中で、アジアの途上国における貧困削減、医薬品アクセス、農民の種子に関する権利など、社会開発や人権にかかわる領域で問題が起こることが予想される。
 本企画では、先進国としての日本が交渉会合のホスト国となるこの機会に、改めてRCEPについての周知を国内外に行ない、国際市民社会の声を交渉官に届け、人々にとって本当に意味のある貿易政策がとられるようになることを目指す。また来年からの通常国会の中でも、これまで一切取り上げてこられなかったRCEP協定についての議論を喚起することも目指す。

RCEPとは?

 TPPと並行して交渉が進んできたRCEP(東アジア地域包括的経済連携)。2013年5月から始まったRECP交渉は、ASEAN10か国と日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インドが参加している大規模なFTAである。TPPが米国中心である一方、RCEPは中国の発言力が強く、またインドも入っていることから、TPPと比較されることも多くあるが、日本がこのRCEP交渉にどのような姿勢で臨むのかは、アジア諸国とどのような関係をつくっていくのかを考える上で重要である。
 しかし、RCEP交渉もTPPと同じく、交渉内容は秘密だ。参加国の市民社会はネットワークをつくり、リークされた文書などを共有したり、メーリングリストなどを通じて日々情報交換をしているが、限られた情報の中で交渉内容を分析し問題提起をしていくことは極めて困難だ。RECPはTPPと比較すれば、自由化度も低く、各国の保護措置もそれなりに担保されるといわれるが、農産物の関税だけでなく、サービス貿易や知的財産権など幅広い分野が交渉の対象とされている点はTPPと共通している。
重要な問題は、リーク文書によれば、知的財産分野にて医薬品特許に関して、日本と韓国がTPPと同じ水準の強い特許権保護を主張しているとの情報があることだ。もしこれが実現されれば、アジアの貧困国での医薬品アクセスは困難となる。ベトナムやマレーシア、ラオス、カンボジアなど貧困層も多くエイズ患者も多い国々の市民からは、日本のこの提案に対して、「撤回してほしい」という強い懸念が表明されている。「国境なき医師団」も、TPPだけでなくRECPにおいても製薬大企業の利益が優先されることへの警告を発信している。(資料1)
 RCEPにはラオス、カンボジア、ミャンマーなどの後発開発途上国(LDC)が含まれる。こうした国ぐにとっては、RCEPによって国内産業が民営化されたり、大幅な規制緩和が行なわれれば貧困解決どころか、国内の格差は広がっていくと思われる。また医薬品アクセスが阻害されることによって、患者には大きな負担となる。まさに貿易が人々の命や暮らし、人権に有害な結果をもたらすことになりかねない。
 これまでRCEPに参加する国の市民社会は、協力してすべての交渉参加国政府に要請文を提出するなどして、人々の声を交渉に反映させようとしてきた。しかし秘密交渉の壁も厚く、また大企業や投資家寄りの交渉の進め方のせいで、こうした声はなかなか汲み取ってもらえないのが現状である。交渉も長期化し、2017年には妥結という目標が立てられる中で、日本における第17回交渉会合で市民社会がどのような提言を行なうのかは非常に重要なポイントとなっている。日本が先進国としてどのような姿勢でRCEPに臨むのか、また「貿易と人権・環境・貧困削減」という対立的な課題をいかにして調和させ、未来の貿易のあり方を提言していけるのか、日本が果たすべき役割は大きい。