●講師:石井一也(香川大学法学部 教授)
●参考文献:
M. K. ガーンディー著、田中敏雄訳『真の独立への道(ヒンド・スワラージ)』岩波文庫 2001/アジット・K. ダースグプタ著、石井一也監訳『ガンディーの経済学:倫理の復権を目指して』作品社 2010

●講義の進め方
初回オリエンテーションの後、一回に付き一章を読み進めていきます。毎回1-2名の方に概要をまとめていただき、発表いただきます。その後講師からの解説と質疑応答・ディスカッションを行います。
8/6 オリエンテーション/自己紹介/序章 身の丈の経済論
本書の基本的な問題意識と構成を示しています。初回は、この序章を中心に、本書の概要とガンディー研究を始めるきかっけとなったエピソードなどをお話しします。
8/27 第一章 ガンディーの生涯
ガンディーの人生を大きく3つの時期に分け、のちに取り上げられる彼の様々な思想や概念が、どのような状況のもとに生まれてきたかを辿っています。
9/10 第二章 ガンディー研究をめぐる論点
ガンディーが、これまでどのように語られてきたかを振り返ります。近代主義やポスト近代主義などによる論評を踏まえて、それらとは異なる光の当て方を探ろうとするものです。
9/24 第三章 宗教観
ガンディーが、ヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教、そしてキリスト教などの影響を受けて、いかにコンヴィヴィアリティ(自立共生)のための倫理を構築していったかを考えます。
10/8 第四章 経済思想の基本構造
近代文明およびそれを支えた経済学、マルクス主義にたいするガンディーの批判を検討し、「ポスト近代」を目指す彼の経済論を、詩人タゴールとの論争とともに概観します。
10/22 第五章 チャルカー運動
チャルカー運動は、ガンディー経済論の一大柱を構成します。彼が、この運動を通じて、機械と市場という近代のシステムをいかに乗り越えようとしていたかを辿ります。
11/2(火) 第六章 受託者制度理論
受託者制度理論は、ガンディー経済論のもう一方の柱を構成するものです。彼が、この理論によって階級間のコンヴィヴィアリティをいかに構築しようとしていたかを見てゆきます。
11/19 第七章 ガンディー死後の「ガンディー主義」
ガンディー思想を継承したヴィノーバー・バーヴェーとJ. P. ナーラーヤンによるサルヴォーダヤ運動の展開を追い、独立インドにおけるガンディー思想の影響を確認します。
12/3 第八章 ガンディー思想と経済学
ガンディー思想を経済学に導入しようとしたエルンスト・F. シューマッハーを中心として、思想的系譜とその今日的意義を、アマルティア・K. センの諸概念を用いて検討します。
12/17 まとめとして 終章:ガンディー思想とグローバリゼーション
本書全体を簡単に振り返ったあとで、グローバル化時代におけるガンディー思想の意義を世代間の関係性をも念頭に置いて明らかにしようとするものです。