パンデミックを超えて―ポスト・グローバル資本主義への道
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パンデミックを超えて―ポスト・グローバル資本主義への道

申し込み価格(税込):
15,000


1980年代以降、新自由主義に基づく市場経済、規制緩和、自由貿易がさらに拡大し、その弊害としての格差や地域経済の衰退は世界各国・各地でますます深刻になっています。また、経済のグローバリゼーションに伴い、その反作用としての極右勢力や権威主義的な政治、そして米中を軸にした覇権争いも起こってきました。その上に2020年、新型コロナウイルスが蔓延し、世界はさらに見通せない状況となりました。
しかし、コロナ禍で明らかになったのは、貧困と格差を生み出し、民主主義をも後退させてきたグローバル資本主義の矛盾と限界です。
世界各国・各地で生まれている持続可能な経済・社会をめざす思想や運動から学び、日本の課題も含めて考えます。

●2021年7月-11月(予定)
●原則として金曜日19:00-21:00 
●全9回 

●受講料:15,000円 (※初めて自由学校連続講座を受講される方は別途入学金10,000円が必要となります。)

<若者応援!U25割>
25歳以下の方は受講料5,000円、入学金免除で受講いただけます。ご希望の方は専用の申込みページからお申し込みください。

●開催形式:オンラインレクチャー(zoom利用予定)
・講師のお話しをたっぷり聞ける講義形式の連続講座です。受講者はカメラ・マイクなしでご参加いただきます。
・講師・コーディネーターもオンラインで参加します。
※オンライン参加にあたり、接続等に不安のある方はPARC事務局までご相談ください。接続マニュアルの送付など、ご参加のためのサポートをいたします。また、機材やインターネット環境に不安のある方は、PARC事務局にてオンライン講座にご参加いただくことも可能です。
只今申し込みできません。お問い合わせください。

◆コーディネーター:内田聖子(PARC 代表理事)

WTOやFTA/EPA等の自由貿易協定の監視・提言を行う。
編著に『自由貿易は私たちを幸せにするのか?』コモンズ 2017/『コロナ危機と未来の選択―パンデミック・格差・気候危機への市民社会の提言』コモンズ 2021(近刊)
パンデミックを超えて―ポスト・グローバル資本主義への道

7/2(金) 環境正義を実現するために―グリーン・リカバリーの限界と希望

井田徹治(共同通信社 編集委員)
新型コロナウイルス禍からの復興のために各国でなされる巨額の投資によって、今の世界を根本から変え、持続可能な社会と経済を作ることが求められます。それを可能にするには何が必要なのでしょうか。
●主著:『霊長類―消えゆく森の番人』岩波新書 2017/『追いつめられる海』岩波科学ライブラリー 2020
●参考文献:井田徹治『次なるパンデミックを回避せよ―環境破壊と新興感染症』岩波科学ライブラリー 2021/スティーブン・レビツキー他著、濱野大道訳『民主主義の死に方―二極化する政治が招く独裁への道』新潮社 2018
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7/16(金) 岐路に立つ米国―「多様性」というバイデン政権の格差是正の行方

北丸雄二(元東京新聞ニューヨーク支局長/ジャーナリスト)
就任以来トランプ主義の修正と軌道復元を急ぐバイデン政権ですが、その政策はコロナ対策とトランプ主義の”名残り”によって困難を極めます。新政権の推力源たる「人種」と「ジェンダー」「セクシュアリティ」の現在をお話しします。
●主著・参考文献:『愛と差別と友情とLGBTQ+』人々舎(2021年6月刊行予定)/ジェローム・ポーレン著、北丸雄二訳『LGBTヒストリーブック 絶対に諦めなかった人々の100年の闘い』サウザンブックス社 2019
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7/30(金)(予定) ケアと資本主義―エッセンシャルワーカーを可視化する

岡野八代(同志社大学大学院 教授)
わたしたち一人ひとりは皆、「誰かお母さんの子ども」。この事実から政治を見つめなおし、資本主義の矛盾を問い、なにを変革すべきかをみなさんと考えたいと思います。
●主著:『ケアするのは誰か?―新しい民主主義のかたちへ』(共著、訳)白澤社 2020/『フェミニズムの政治学―ケアの倫理をグローバル社会へ』みすず書房 2012
●参考文献:アイリス・マリオン・ヤング著、 岡野八代・池田直子訳『正義への責任』岩波書店 2014
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9/10(金)(予定) ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動の射程と21世紀の人種

藤永康政(日本女子大学 教授)
人種間の和解を象徴したオバマの時代にBLMは生まれました。本講義は、21世紀のアメリカでの人種の意味の変遷を辿りながら、BLM運動がアメリカ史のなかで持つ意味についてお話します。
●主著:「『公民権物語』の限界と長い公民権運動論─ウィリアムス、キング、デトロイト・グラスルーツの急進主義に関する一考察」油井大三郎編『越境する一九六〇年代―米国・日本・西欧の国際比較』彩流社 2012/「黒人都市ゲトーを見つめるまなざし─シカゴの事例から」貴堂嘉之・兼子歩編『「ヘイト」の時代のアメリカ史―人種・民族・国籍を考える』彩流社 2017
●参考文献:「ファーガソンの騒乱─監獄社会と21世紀の人種主義」『アメリカ史研究』第38号 2015/「ブラック・ライブズ・マター蜂起の可能性??「刑罰国家」アメリカとレイシズム」『世界』935号 2020
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9/24(金) ブラジル民衆の抵抗運動から学ぶ民主主義のレッスン

下郷さとみ(ジャーナリスト)
世界でも有数の格差社会ブラジル。一方で逆境を跳ね返す市民のたくましい抵抗運動がある。ファベーラ(スラム)住民が展開する運動を通して、民主主義のあり方を一緒に考えましょう。
●主著:『抵抗と創造の森アマゾン』(共著)現代企画室 2017/『平和を考えよう(1):戦争の怖さを感じとる力を』あかね書房 2013/『平和を考えよう(2):教室も外国も世界はひとつ』あかね書房 2013
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10/8(金) ワクチン・ナショナリズムを超えて―公正な保健・医療アクセスを実現するには?

金杉詩子(国境なき医師団日本 アドボカシー・マネージャー)
貧しい国や紛争地、難民や移民――すべての人に必要な医療が行き渡らなければパンデミックは終わりません。「公平な医薬品アクセス」を求める世界の動きをご紹介します。
講師写真提供:© Mariko Tagashira
パンデミックを超えて―ポスト・グローバル資本主義への道

稲場雅紀(アフリカ日本協議会 国際保健部門ディレクター/PARC 理事)
コロナ危機は、人類社会が「地球の限界」を踏み越えてしまったことを示しています。「独占と競争」から「共有と連帯」への変革に、私たち自身の生存がかかっています。
●主著:『SDGs―危機の時代の羅針盤』(共著)岩波新書 2020/『流儀―アフリカと世界に向かい我が邦の来し方を振り返り今後を考える二つの対話』(共著)生活書院 2008
●参考文献:外務省NGO研究会(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジとNGO)報告書『NGO のためのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ ハンドブック=すべての人に健康を届けるためには=』アフリカ日本協議会編 2015
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10/20(水) なぜ、脱・資本主義でなければならないのか?―公正なトランジションに向けて

斎藤幸平(大阪市立大学大学院 准教授)
差し迫った気候危機に公正さをもって対応するには資本主義そのものを見直さなければなりません。マルクスに立ち返ってこの問題を考えましょう。
●主著:『人新世の「資本論」』集英社新書 2020/『大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝』 堀之内出版 2019/『未来への大分岐 資本主義の終わりか、人間の終焉か?』(共著) 集英社新書 2019
●参考文献:マレーナ・エルンマン、グレタ・トゥーンベリ著、羽根由訳『グレタ たった一人のストライキ』海と月社 2019/ナオミ・クライン著、幾島幸子・荒井雅子訳『これがすべてを変える─資本主義vs.気候変動』岩波書店 2017

※「カウントダウン・気候危機―全員で生き残れるトランジションを考える」講座と合同で開催します。
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10/29(金) 日本における「新しい階級社会」とアンダークラス

橋本健二(早稲田大学人間科学学術院 教授)
経済的・社会的格差の拡大によって、日本は、資本家階級を頂点に、労働者階級を底辺とする従来の構造の最底辺に、新しい下層階級=アンダークラスを集積させる新しい階級社会の性格を強めています。その問題点について考えていきます。
●主著:『現代貧乏物語』弘文堂 2016/『〈格差〉と〈階級〉の戦後史』河出新書 2020
●参考文献:橋本健二『新・日本の階級社会』講談社 2018/『アンダークラス2030―置き去りにされる「氷河期世代」』毎日新聞出版 2020
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11/26(金) <特別オープン講座> 脱グローバリズム時代への転換期―国家・地域・民主主義

柴山桂太(京都大学大学院人間・環境学研究科 准教授)
グローバリズムが民主主義を空洞化させ、国内の利害調整が機能せず、国際政治・社会そして人びとの間に深刻な歪みと分断を引き起こしている。この状況を打開するためのキーワードは、「国家・地域・民主主義」である。世界の潮流と日本の現状をつなぎ、目指すべき方向を考える。
●主著:『静かなる大恐慌』集英社新書 2012/『グローバリズムが世界を滅ぼす』(共著)文春新書 2014

※特別オープン講座のため、この回のみ参加される一般参加者との合同受講となります。
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