コロナ禍人権侵害を許さない-労働者支援のためのカンパのお願い
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コロナ禍人権侵害を許さない-労働者支援のためのカンパのお願い

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PARCと協力団体ではこれまでにフィリピン・ミンダナオ島ダバオ・デ・オロ州のバナナ農園及び関連施設の労働者を束ねる労働組合(NAMASUFA)組合員に対する暴力行為や不当解雇の問題について調査・支援・提言活動を行なってきました。
しかし、いまだ問題は解決しておらず、コロナ禍で労働者らの闘いは今まで以上に過酷なものへと転じています。
(具体的な経緯は下記の詳細をご覧ください)

現地活動家らの生活と活動を支援するためのカンパを改めてお願いします。

【郵便振替】
00160-4-163403
アジア太平洋資料センター

【ゆうちょ銀行へ振込】
銀行:
支店:〇一九
口座番号 :当座 0163403
名義:アジア太平洋資料センター

※写真提供:NAMASUFA
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経緯

 2018年10月1日、日本仕向けの輸出を行なうバナナブランド「スミフル(旧:住商フルーツ)」を取り扱うミンダナオ島コンポステラ・バレー州(当時、現在のダバオ・デ・オロ州)にある農園及び関連施設で勤務する労働者らを代表する組合NAMASUFAの組合員749名が不当な労働環境を訴えてストライキを起こしました。このストライキは開始から数日後に軍や警察も関わる暴力的なスト破りにあい、29名の組合員が負傷したほか、関与した組合員は会社側から10月中に一斉に解雇される通知を受け取りました。

 そして2018年10月31日、ストライキに参加していた組合員の一人ダニー・ボーイ・バウティスタさんが何者かに射殺される事件が発生しました。同じ時期に少なくても3名のストライキ参加者が銃を構えた所属不明の男らに追跡される、あるいは実際に発砲される事件が発生しています。

 11月には代表宅が放火され、現場付近からは当夜に打ち込まれたとみられる銃弾の薬きょうが発見されています。幸いにも住民らの消火活動によって消し止められたものの、翌月、同事件現場に特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター(PARC)と国際環境NGO FoE Japanの調査スタッフらが視察に向かうその日の明け方、組合事務所と代表宅が合わせて再度放火され、全焼しました。

 この一連の事件が労働運動を弾圧するための示威行動であることは誰の目にも明らかなことでしょう。日本に輸出されるバナナのために労働者らは不当な労働環境にさらされ、その改善を会社に突きつけたところ、暴力と不当に解雇される事態が続いたのです。

 この件に関しては2018年10月からPARC、FoEとエシカルバナナ・キャンペーン実行委員会らと協働し、仕事へのアクセスを封じられている組合員への生活費支援や組合代表部が国際的な場で問題を訴えるための渡航・講演活動費支援などを行なってきました。

 労働者らは根拠なく労働弾圧を訴えているのではなく、現地の労働当局はすでに会社側の不当行為を認め、2019年7月には不当解雇された組合員の復職と団体交渉を速やかに開始させることを記した行政指導までも出されています。しかし、会社側は行政指導こそが不当であると控訴裁判に訴えています。2020年12月現在、この控訴審は結論が出ていません。不当に解雇された労働者らは復職を求めながらも、裁判結果を待つ間は定職に付けない状況が続いています。
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コロナ禍で深まる人権侵害

 そんな中、世界を襲ったコロナ禍は、日雇い業など不安定な仕事しかなかったスミフル労働者らにも経済的に大きな打撃をもたらしました。仕事がなくなってしまうだけでなく、厳しい移動制限がある中では仕事を探すことも困難です。追い詰められた組合員に対して、会社側は組合を辞めて、復職願いを取り下げるのであれば一度きりの現金給付が受けられるという和解条件を提示しました。組合員それぞれの事情もあり、2020年6月時点で約40名の組合員が和解に応じ、組合を辞しています。

 2020年夏、組合と現地人権団体Nonoy Librado Development Foundation, Inc (NLDF)は共同で、この間に組合員に対して行われている人権侵害の実態調査を行いました。その結果、複数の組合員がフィリピン国軍第66歩兵大隊から組合活動と新人民軍(NPA)の武装ゲリラ活動を同一視した旨の恫喝を受け、組合活動を辞すように圧力を受けていたことが明らかになりました。
コロナ禍人権侵害を許さない-労働者支援のためのカンパのお願い

事例1)食糧緊急配付を送検

 2020年6月11日午後、NAMASUFAの組合員女性8名が町長に召喚され、庁舎を訪問したところ、当該の女性1名だけが会議室に入室を許された。会議室には市長だけでなく武装したフィリピン国軍隊員2名、軍属と思われる私服の男性、バランガイ(フィリピンの最小行政単位)長、警察署長が待ち構えており、当該女性らが組合員の生活支援のために行った食糧配給について詰問されたという。配給事業はバランガイ長から事前の了承を得たものであったにもかかわらず、その事業のために組合員ら数名が集まったのはコミュニティ隔離要綱に反するという理由で女性が書類送検されることが警察署長から通達された。
 そして話はそこにとどまらず、当該女性のかかわる労働組合NAMASUFAが新人民軍と「好ましからぬ人物」の支援を行っているとされる嫌疑について追及されたと言う。そこで当該女性は食糧配給事業の問題は本題ではなく、組合と新人民軍を同一視させた恫喝が真の目的なのだと悟ったと言う。
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事例2)「投降」せよ

 2020年7月3日、当該女性はフィリピン国軍第66歩兵大隊の要求に基づき、バランガイ長に召喚された。同日15時に行われた面談の場では歩兵大隊の構成員から組合活動と新人民軍ゲリラ活動が同一視され、組合活動が何の違法性もないにもかかわらず「投降し」、組合幹部を辞するように圧力をかけられたと言う。その際に軍構成員から「投降」すれば生活費支援をするというオファーが出されたほか、「投降」しなければ毎日当該組合員の監視を続ける旨や、町外からの訪問者を受け入れるべきではない旨の警告が出されたとのことである。
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事例3)住居侵入・脅迫

 少なくても3名の組合員が第66歩兵大隊の構成員と見られる私服の男たちから脅迫、監視、ハラスメント、威嚇行動を受けてきたとする証言がある。これら構成員は時に組合員らの留守中に家人の許可を得ることなく住居に進入し、組合員の捜索をするとともにスミフル社に対する訴えを取り下げることを住民に強く求めたと言う。
 そのような出来事があってから家族と音信不通になってしまった組合員もいる。